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eSWC2023GFへの道のり (KG-R)

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ストレートなタイトルにした今回のブログは、自分があとでいつでも振り返れるようにするためのノートであり、eSWC(eセーリング世界選手権)のGF(グランドファイナル)出場を目指している人や、何かしらの大会で優勝や上位入賞を目指している人にとって参考になるかもしれない情報が含まれた、戦いの記録である。

2023年9月22日早朝、eSWCセミファイナルが実施された。予選ステージを勝ち抜いた44名(当日1名欠場のため43名)が集まり、上位10名がグランドファイナルに進出する。
私は昨年もセミファイナルに出場し、結果は12位。10位とは5点差だった。(成績: Regatta eSWC Semi Final (sailranks.com)
2022年はeセーリングに限らず全体的に失敗の年で、その情けなさと悔しさを胸に、昨年のセミファイナル終了後から2023年以降、気持ちを入れかえてeセーリングと向きあってきたつもりだ。

OES(オリンピックeスポーツシリーズ)やEJC(eセーリング全日本選手権)も重要な大会だが、eSWCには未練や憧れがあり、今の私にとっては何よりも価値のある大会となっている。だから今年こそは、何としてでもセミファイナルを突破してやろうと入念に準備した。

その準備のおかげかどうかはわからないが、今年のセミファイナルは7位だった。(成績: Regatta ESWC 2023 Semi Final (sailranks.com)
成績タイプは、中盤安定型。R1,2,6は後ろから巻きかえす展開で、微妙なスタート以外にミスはあまりなかった。R7は微妙なスタートと1下のミスが響いた結果、ひどい順位になってしまったが、R6までの貯金に救われた。
異様な挙動・カクツキ、長すぎる待機、リスタートなどのさまざまなトラブルに過度に動揺させられることなく走りきれたのはよかった。

この結果はもちろんうれしいが、このブログはGFに初めて出場できることになった喜びを表現するためのものではなく、そもそも喜ぶのはまだ早い。
GF出場は大きな意味を持つ一方、あくまで最終目標は世界一になること。私はOES決勝での大失態と、それにつながったであろう準備段階での数々の失敗を鮮明に覚えている。同じような失敗や思いはしたくないし、やっぱり優勝したい。

さて、本題の「セミファイナルに向けて何をどう準備したのか」について書いていこうと思う。
コンディションの調整方法は人によって多少なりとも違うはずなので、以下の内容を他の人が真似したからといって良い結果が出るとはかぎらないだろう。また、私は一般的な学生や社会人と違う環境にあるので、内容の一部は多くの人にとって非現実的なものとなっている。そもそも試行回数が少なすぎるものもあり、私ですら同じ方法で次も良い状態を作れるのかわからない。単なる1例として受けとってくれれば幸いだ。


1、前日・レース直前の食事
食べるものや食べるタイミングは意外と大事。今回用意した作戦はこうだ。
「前日は好きなものを食べる。夕食は特に調理が短くかつ、胃もたれなどおなかの調子が悪くなる可能性のあるものは避ける。そして計画している就寝時間にあわせてタイミングを全体的に前にずらす。当日の朝(レース直前)は、食べやすいものを用意。少し余裕を持って食事を終わらせ、レース途中にも食べられるような軽食を用意しておく」

時間などは多少違うだろうが、覚えている範囲でざっと詳細を書いてみる。

・前日
朝 5:00 たらこごはん(たらこが好き。たまにしか食べない)
昼 11:00 しらす納豆ごはん、豆腐、なすの漬物(納豆が大好き。ほぼ毎日食べる。しらすも好き。たまにしか食べない)
夕 17:00 かつおのたたき、ごはん、野菜炒め(かつおのたたき含む刺身全般好き。たまにしか食べない)
・当日
朝 4:15 グラノーラ、果物(果物は半分残し、試合中の待ち時間に残りを食べた)
(第1レースは5:00から)

この作戦(献立)について、もう少し解説を加えておく。
まず、前日に好きなものを食べるのは、幸福度を少しでも高めるためだ。おいしいものを食べた分だけがんばれそうな気がしたので、これだけは外せないという定番の納豆と、ちょっと特別感のある、たらこ、しらす、かつおのたたきを用意してみた。スーパーでたまたま安くなっていたので、このチョイスとなった。ちなみに何を食べるのかを選べるようになったのは、今年から始めた一人暮らしのおかげだ。

夜の食事に刺身を選んだのにも理由がある。普段は夜に魚(焼いて食べる)、鶏、豚などを選んでいるが、加熱するものは野菜炒めだけにして時短したかったのと、鶏や豚などの肉類はたまに焼きたりなかったり脂っこかったりして、おなかが痛くなったり胃もたれしたりするのでそのリスクを避けたかった。生焼けの肉は怖い。一度、生焼けの肉を食べた後に急激な睡魔に襲われたことがある。そのときはもうダメかと思った。

前日の食べるタイミングは、私にとってはかなり早い。普段は3食ともこの2、3時間後だ。試合前日の3食をいつ食べるかについて今まであまり深く考えていなかったが、今回はある仮説を立てた。
「食事は体内時計に大きな影響を及ぼすのではないか」
最初に考えたのは夕食の時間だった。夕食を食べた数時間後に決まって眠くなるスイッチが入って、その夕食の十数時間後に空腹を感じて自然と目が覚めるのではないか、と考えた。
そこから、夕食を早く食べるためには昼食を早く食べて、では朝食も、という流れだ。睡眠についてはこのあと詳しく書くが、このタイミングずらしは効果的だったように思う。これができるようになったのも、一人暮らしを始めたおかげだ。

当日の朝は、試合開始の30分前には食べおわるようにした。もう少し遅いと、焦りながら朝食を食べることになりかねないし、栄養や糖分が脳に回るまで多少時間がかかるだろうと思ったからだ。
グラノーラとたらこごはんで迷ったが、ごはんの粘り気、炊飯や洗い物の手間を考えた結果、グラノーラを選んだ。
果物は、大会のときによく用意する軽食である。数種類の果物が少しずつ入ったパックを今回も買っておいた。気分に合わせて選べるようにと用意していた栗大福は食べなかった。


2、睡眠
直前の睡眠を失敗すればすべてが台無しになる、というのがこれまでの経験から私が学んだことだ。
VRIのオンライン決勝(予選ステージの決勝など)のほとんどは、ヨーロッパ時間の夜に開催される。日本だと早朝になる。となると寝坊の可能性が少なからずある。これが日本の多くのeセーラーを苦しめてきたはずだ。
オンライン決勝にもいろいろある。世界選手権とは少し離れた大会や、複数回の決勝イベントが残っている場合などは、そこまで深刻な気持ちにならずに済む。そのため、睡眠にそこまで気をつかわなくても、ひどい睡眠を味わうことはめったにない。睡眠時間がやや短くなったとしても、あまり緊張していないおかげで、わりかし走れてしまったりする。

しかし、セミファイナルとなると話は別。チャンスは1年に1回だけしかなく、世界選手権のGFへの出場権という大きなものがかかっている。さらにいつにもまして強敵揃い。
昨年のセミファイナル前の睡眠・緊張はひどかった。そのときの様子は過去のブログ(オベリスク姿勢でひと休み (KG-R) | バーチャルレガッタ講座 – ゲームウィキ.jp (gamewiki.jp) )に書かれている。
もともと予定していた睡眠時間が短かったうえに、全然眠れず、頭がぼーっとした状態でレースを迎えた。私の準備不足もあったが、朝4時からの開始がかなりしんどかった。
今年のセミファイナルは朝5時からだったので、その点はよかったが、他の条件はほぼ変わらないので、大変な一夜になることを覚悟していた。

今回の睡眠計画は、20時に布団に入って4時に起きること。
良い睡眠を実現するためにしたことがいくつかある。
・(先ほど書いたように)前日の食事のタイミングを全体的に前にずらした
・前々日などにもなるべく近い時間に睡眠をとるようにした
・前日にほどよく疲労がたまる運動(散歩など)をした
・布団に入る約2時間前からPCやスマホを極力見ないようにした
・布団に入る直前に約20分程度ストレッチをした
・布団に入ってからはリラックスできる音楽を流した

最初の2つは、寝る時間帯を移動するために必要なことで、後ろの4つは、大会前などにかぎらず良い睡眠をとる(特に寝つきをよくする)ために必要なことだ。と、私は考えている。

その結果を書いていこう。
まず寝つきは悪くなかった。むしろよかったほうだと思う。翌朝のことをあれこれ考えたりすることなく、落ちついた状態で横になることができた(精神面の調整についてはあとで詳しく書く)。

問題はそのあとだった。20時に布団に入り、まもなく眠りに入ったはいいのだが、4時のアラームが鳴る前に目が覚めた。けっこう時間が経ったように感じつつ時刻を確認すると21時過ぎ。また始まってしまったか、と思いつつ、今回はたっぷり時間をとっているので心に余裕があった。気を取り直して眠った後、また目が覚めた。23時過ぎ。2回目なのでもう驚きはなく、また目を閉じた。その後の記憶は定かではなく、もう1回途中で目が覚めたかどうかしたあとに、アラームとともに4時に目が覚めた。

体調はどうだ、とおそるおそる確認していくと、そこまで悪い目覚めじゃないことに気づいた。頭は痛くなく、ぼーっとしてもなく、眠気もなく、目はすっきりしていた。この状態なら良いパフォーマンスが期待できそうだ、と第一関門を突破した気になって安心したように思う。朝食後にトラブルが待ちかまえているのだが、それについては後ほど説明する。


3、練習
調整において最も重要なのは、大会に向けてどう練習していくか、だろう。食事や睡眠がうまくいっても、腕があまりにも鈍っていたら、健康なだけの人間になってしまう。

練習といっても、VRI自体は年間通してプレイしているので、そんな長い期間について書くわけにはいかないし、よく覚えていない。
そこで、今回のセミファイナルを意識して練習しはじめた、8月のEJCが終わったあたりからの練習をおもに取りあげることにする。

OESが終わり、英検2次を受けおわった後、若干燃えつきた感じがあった。7月8月はずんだもんシリーズ動画の作成や、リアルセーリングの練習(後輩の練習に混ぜてもらった)、EGOK(学生王者決定戦)の準備や運営など、いろいろやった。その一方で、VRIの練習はそこそこしていたものの、いまいちピンとこない日が続いた。

ピンとこないまま迎えたEJCは惨敗。ヨットレースの勝ち方が分からなくなり、EJC以降もしばらくクラブレースやハイレベルな練習レースで前を走れなすぎて、すごく原始的で苦い悔しさを味わうことになった。速い人たちに嫉妬すらしていた。
独り言が汚くなり、紳士的で余裕のある心はどこかに隠れた。いつか誰かが言っていたような気がするセリフ「バーチャルレガッタって前走れない状態がずっと続くとイヤになる」をはじめて理解した。前走れるまで練習するのが楽しいのに、と思っていたが、その時期はまったく練習を楽しめなかった。上達するビジョン、腕を取りもどすビジョンがまったく見えなくなると、楽しむのが困難になるらしい。

今年のセミファイナルは元々9月10日早朝あたりで予定されていたが、その前のプレイオフでトラブルが続出したため、同月22日に延期された。セミファイナルを早くやってしまいたい気持ちもあったが、練習のやり方を見なおして気持ちを切り替えるいいチャンスかもしれないと思い、「ただレースするだけの練習」からの脱却を図ることにした。それが9月中旬のこと。延期されたとはいえ、あまり時間は残されていない。

情報が整理できていないのにレースし続けても仕方ない。
いつもと同じようにレースをしていても新鮮味がない。
という2つの問題点はすぐに見つかり、それを解消するためにやるべきこともすぐに見つかった。

情報が整理できていないのなら、見て学ぶしかない。
9月上旬にとある動画(Don’t stand so close to my boat | VRI Montage – YouTube)を作成した影響で、動画素材を仕入れたくなり、積極的に録画をするようになっていたので、自分がヨットレースを学ぶための教材としても活用することにした。
まずはFC RICHさん主催の練習レースに参加しながら録画したものを、見かえしながら復習音声を録音。Youtubeに投稿して、他の人も見られるようにした。調子が戻ってくるという実感はなかったが、なんとなく充実感があった。
その後もセミファイナル前日までほぼ毎日録画を続け、それらにはすべて振り返りの音声をつけてからYoutubeに投稿した。
他のプレイヤーが投稿した動画を見て学んだりもした。

もう一つの問題点、新鮮味のなさ、について。
かれこれ4年くらい同じゲームをやっているので、これまで何度も退屈さを感じたことがある。そのたびに何かしら制限を設けておこうなう、いわゆる縛りプレイをすることで、新しい刺激を求めてきた。たとえば、PCでFキーを使って情報を最小限にする、などだ。
いろいろな遊び方をやってきたつもりだったが、まだ手をつけていないものがあった。それが2D視点のみでプレイ、というものだった。少し試してみたことはおそらくあっても、おふざけ程度でしかやった記憶がなかった。
試してみると、新たな発見や、基礎知識の再発見などがあり、とても楽しく、かつ有意義に感じた。

以上の新しい「練習」のおかげか、少しずつ調子が上向きなのを感じることができたので、あとは前日の調整をどうするかだ。ちなみに当日のレース直前は、変に安心したり不安になったりしないように、1レースもしないことを決めていた。

試合前日に何時間もプレイするのは、私にとっては経験上あまりよくなく、かといって何もしないのは不安なので、今回は次の3つのことをした(時系列順)。
・セミファイナル練習の観戦&実況
・緑レース×10
・チュートリアルやカスタムレースでスタート練習

全部をやるのに多少時間はかかったが、疲労はほとんど感じなかった。緑レースはいつものことだが、他の2つは前日にやることとしては初の試みだ。

早朝にセミファイナル出場者が集まる練習があり、私も途中参加できる状態だった。しかし、成績が記録される練習なので、当日のレース直前に練習しないのと同様の理由から、参加するのは控え、代わりに観戦することにした。また、少し前にも同じような練習会があり、そちらには参加していて、実際に走るときの雰囲気がすでにわかっていて満足していたという理由もある。

桟橋でプレイできるチュートリアルなどを用いたスタート練習は、その日に思いついてやってみることにしたものだ。具体的には、加速動作やリコール判定の確認などで、セミファイナルで使う艇種すべてをひととおり気の済むまで練習した。1艇種につきだいたい5、6本だったと思う。

これらをすべて昼ごろまでに終わらせ、あとは本番を待つだけにした。

練習についてはほとんど書ききったが、念のためやっていた練習がひとつあるので共有しておきたい。
私はここ最近ずっとノートPC(以後PC)でプレイしており、そのおかげなのか、2023年の大会成績はそこそこよかった。今回のセミファイナルもPCで参加するつもりでいた。
だが、そのPCにもしものことが発生した場合に備え、9月に入ってからは緑レースの3~5割程度をスマホで練習していた。元々スマホプレイヤーだったので、そんなに練習しなくてもある程度は走れるのだが、スマホからしばらく離れていた状態で久々にプレイすると操作ミスがしばしば起こる。初歩的なミスだけしないように、最低限慣れておこうというつもりで練習しておいた。

迎えたセミファイナル当日、開始30分前に事件は起こった。通信状態を確認しようとPCを立ちあげ、VRIのページを開いた。最初のローディングが終わらず、嫌な予感がした。それから他のページを開こうとしたら、何らかのエラー文が出て、ページを読みこめなかった。もういちどVRIのページを開こうとしたら同じエラー文が表示された。
前日まで快調だった自宅のWi-Fiが不調になった。たまにあることなので、対処法はひととおり把握している。しかし、モデムとルーターを再起動しても、Wi-Fiの設定をいじっても改善しなかった。ギリギリつながったWi-Fiの通信速度を測定してみると、とてもVRIができるような速度ではなく、第1レース5分前くらいまで確認しつづけたが改善の見込みがなかった。

少しだけ動揺したものの、想定内の出来事だったので、気持ちを切り替えて4G回線のスマホで参加した。偶然かもしれないが、結果的にスマホ操作に起因したミスはほとんどなかった。
開始数十分後にWi-Fiの通信速度は改善した。でも私はもうWi-Fiを信用することができなくなり、途中でデバイスを変えるのも調子が乱れそうな気がしたので、最後のレースまでスマホを使った。


4、精神面
大会に向けて、気持ちを作ったり、自分自身に何かを言いきかせたり、ジンクスを信じてみたりするのは、緊張をほどよく緩和させ、良いパフォーマンスを引きだすために大事なことだ。
精神は時間の経過や経験の蓄積により少しずつ変化するもので、過去の自分とまったく同じ精神状態になるのはほぼ不可能と考えている。だが、近い状態になることはあり、自らの意思で調整することも多少はできる。

大会開始前と大会進行中では事情が違ってくるので、分けて考えなければならない。まずは、大会が始まる直前から数日前くらいまでの期間における気持ちの作り方について書くことにする。

大会前に気持ちを作るうえで考えるべきことは、動機、姿勢、自信、の3つに大きく分けられると思う。

・動機
何のために出場するのかを確かめておくことは、心の支柱あるいは土台作りとして欠かせない。

私の動機は基本的にいつも同じ感じだ。
世界一になるため。過去の大会以上の結果を残すため。自己満足のため。自分と関わりのあるすべての人のため。eセーリングに関心を持っている人や、私の知らないところで応援してくれている人のため。などなど。

今年は身内や親戚の不幸が2度あり、その2人のことを大会のたびに思っている。もっと前にいなくなった身内のこともたまに思いつつ、生きている家族や親戚たちに早く良い報告をしたいと思うようにもなった。

・姿勢
どういう気持ちで出場するのかを事前に決めることで、心の骨組みを築くことができる。

姿勢にはいくつか種類があり、状況に合わせて私は使い分けている。今回は次のような、少し肩の力を抜いた姿勢を選んだ。

3位以上に入れたらうれしいけどギリギリ10位に引っかかればいい。引っかからなくてもいい。順位に執着せず、ハイレベルなレースを楽しむ。来年以降もチャンスはあるし、今年は十分すぎるほど結果を残せてきたので敗退しても気にしない。数年以内にGF進出できればいい。本番を練習のように、というより、そもそもすべてのレースは次のレースや次の大会のための練習、と考える。他の日本人選手の成績は気にしすぎない。でも一緒にGF行けたらうれしい。他の日本人選手だけGFに行ったらちょっと悔しいけど喜ぶし尊敬する。敗退するなら、それは日頃の行いが悪かったせい。心当たりならいくらでもある。

・自信
自分を励ましたり安心させたりするための事実を探して、それによりかかることは、心の外壁を整えるようなものだ。自信というと聞こえはいいが、見栄や強がりとたいして変わらない。それでも、まったくないよりは、ほどほどにあったほうがいいと考えている。

ここしばらくの練習や大会を振り返ってみてもそこまで自信は持てないので、しばらく前の成功体験などを引っぱりだして、自分はそういう成績を残せる実力を秘めているのだ、と思いこむことにした。特に、今年のSeason1決勝での1位が大きな支えとなった。

私は物理学科出身ではあるのものの、eセーリングを続けているうちに非科学的なことや、根拠が定かではない現象を信じてみたくなるときがしばしばある。いわゆるジンクスとかその類のものの存在を感じるときがある。
私は気づいてしまった。2023年に入ってから、偶数月には良い結果を残せず、一方で奇数月のときは良い結果を残していることを。

5月のOES第7予選の決勝で1位をとったあたりから、うすうすこの法則の存在を疑いはじめ、6月のOES決勝7位でそれを信じるようになり、8月のEJCで5位になって、いよいよ怖くなってきた。
他の月の結果をまとめると、1月はクラブチャンピオンシップ優勝、2月はeSailGP予選決勝7位、3月はSeason1決勝優勝、4月はOES予選全落ち、7月は特にイベントなし(強いてあげるなら、おっさんvs若者で勝利)、となっている。

ここまできたら、9月はこの不可思議な周期現象のおかげで、何か特別な努力などをしなくても良い結果が勝手に出るんじゃないか、と期待したくなるのが人間である。
このルールの強固さを信じてしまえば、偶数月の大会での負けが受けいれやすくなるし、奇数月に予定された大会に対しては強気でいられる。もしルールから外れた結果が出たとしても、所詮はジンクスだと割りきればいいだけ。
非科学的なことをはなから信じる、というよりは、信じておくほうが得するし損しない、という合理的な理由から信じることにした。

結果として、今回はこのジンクスのおかげで心に余裕ができたし、GF進出も叶った。
困ったことに、GFは10月に開催される。偶数月のジンクスはそろそろボロが出る頃だろうから、もう信じないことにする。というか自らの力で破りにいく。破れなかったら、ジンクスのせいにする。

ちなみにセミファイナルにまつわるジンクスらしきものがあるらしかった。それは他のプレイヤーから聞いた話だ。昨年のセミファイナルは、シーズン決勝・プレイオフ決勝の優勝者が誰も10位以上に入れなかった、というもの。
私は今年のシーズン決勝優勝者なので、もしこのジンクスが本物だとすると、セミファイナルで敗退することになる。私はその話を聞いても、あまり気にしなかった。信じなかった。というのも、シーズン決勝などで優勝してもしなくても、GF進出できないときはできないと考えていたからだ。さらに、この3シーズン+プレイオフからのセミファイナルという形式は昨年採用されたばかりで、データが非常に少ない。

蓋を開けてみれば、今年のセミファイナルは、シーズン1優勝者の私と、シーズン2優勝者のmuimuiさんがGF進出を決めた。誰かが見つけたこのジンクスは、こうしてあっけなく破られた。ジンクスとジンクスが衝突したとき、弱いほうのジンクスは消えなければならない。

これらの他に、私が気にしていた傾向があった。上述のジンクスとは趣が違うものである。
世界選手権の予選には、2020年から参加しはじめた。各年の私の最終成績は次のとおりだ。ちなみに、2020年と2021年は、プレイオフのランキング上位者がそのままGF進出となっていた。
2020:プレイオフ41位
2021:プレイオフ13位
2022:セミファイナル12位

一度も順位が下がっていないことに気づかれたと思う。私は昨年悔しい思いをしたが、2021年よりは良い順位で終われたことに気づいてから、気持ちがすこし救われた。
今年は、仮にセミファイナルで敗退するにしても、12位か11位には留まれればいいと思っていたし、この傾向を前向きに捉え、その上昇が続くことを祈った。
偶数月・奇数月のジンクスほど、セミファイナル前に頼りにはしていなかったが、今年の最終成績が昨年の12位を上回ることが決まった今は、この傾向を頼もしく感じている。たとえ今年がぱっとしなくても、来年に期待すればいいだけだ。


大会前の気持ち作りに関しては以上である。次に大会進行中の話に移るが、じつはあまり書くことがない。
大会が始まってしまえば、あとは基本的になすがまま。落ち着きを保つためのちょっとしたテクニックなどは使う。

今回、頻繁に頭に浮かべたキーワードがある。それは「想定内」。
特にミスをしたとき、「想定内だから大丈夫」と自分に言いきかせた。それは上辺だけの言葉ではなく、実際に想定したうえでの本当の言葉だ。ミスの仕方やレース展開、試合展開にはある程度パターンがあるので、それを可能なかぎり想像しておいた。あまり期待しない方向で想像しておくことで、だいぶ心が軽くなった気がする。

他に印象に残っていること、記録すべきことといえば、待ち時間中の気持ちの制御方法だ。
R5の後に長いこと待たされた。自分の成績と順位を確認して、10位の予想ボーダー点数までどのくらいなのかを考えた。あまりそれを意識しすぎたくもなかったが、けっこう意識してしまった。
練習レースをする時間さえもあったがそれはせず、よほどのことがないかぎり大丈夫だと言い聞かせ、Discordのチャットを読みはするものの参加することはせず、ただ待った。

成績だけ見ると、待機のあとの2レースはうまくいっておらず、R5までの好調な流れが待っている間に途絶えたように思われる。つまり、待ち方に問題があった可能性がある。
10位のボーダーを意識したのでそちらに引っぱられたか、点数に余裕があることを知って集中力が切れてしまったのではないかと考えている。もしくはR3~5までの調子が良すぎただけかもしれない。



かなり長くなったが、これで記録しておくべきことはほとんど記録できたと思う。
最後まで飛ばさずに読んだ人はいるのだろうか。私としては、興味のあるところだけでも読んでくれればありがたいと思っている。

グランドファイナルへの意気込みなどで締めるべきかもしれないが、ここでは書かないことにする。ただ、このひと言だけ残しておこう。

行ってきます。

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