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オベリスク姿勢でひと休み (KG-R)

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セミファイナルが終わった。
成績表:Regatta eSWC Semi Final (sailranks.com)

「果てた」
全レースが終了したとき、そう思った。10位に入れなかった悔しさ以上に、疲労感のほうが大きかった。敗北したとき恒例の、あそこでああすれば的回想はあったものの、ひどい後悔に襲われることはなかった。レガッタ全体を振りかえってみて、心に留めておこうと思った反省点は、スタートのキレの悪さ、それだけだ。
私には(おそらく他の方も)、スタートがやたら決まる日と鈍いスタートばかりの日がある。今日は最初の1レース以外、これといったスタートを決めていないので、調子の悪い日だったと言える。私は自分の調子を評価する基準のひとつに、ディップミス(スタボ艇の後ろギリギリを狙ってぶつかるミス)をするかどうか、というのがある。私は今回、第3レースかどこかのレースできっちりそのミスを成し遂げた。
スタートの難しさはシーズンファイナルと大差はなかった(少しの差はあったかもしれない)ように思うので、今回の冴えないスタートは私の判断ミスや操船ミスを原因としていいだろう。風は毎レース複雑で、有利サイドの見極めも難しかった。
調子がよくなかったとはいえ、そもそも私のスタート攻略方法に欠点や、不足している点があるのだろうと感じた。練習次第で改善できそうで、かつ最も改善すべきところだと思ったので、反省点としてはスタートだけを挙げることにしたのである。

このブログは、次の文から本編が始まる。
私がセミファイナルに向けて実行してきた作戦を、虚実まじえつつ公開していこうと思う。大成功とはいかなかったものの、誰かの何かの参考になったらうれしい。


その1,〈シーズンファイナル全出場作戦〉
今年のeSWCから、シーズン制が導入された。各シーズンでランキングが区切られ、シーズンごとに上位40名で直接対決をする。シーズンファイナルは、セミファイナルとフォーマットが大体同じで、シーズン3にいたってはまったく同じだった。つまりセミファイナルの予行練習になる。レベル的にもほぼ同じだ。だから、私はシーズン1でセミファイナル進出を決めた後も、青レースが開催されるたび欠かさず参加し、すべてのシーズンファイナルにおじゃました。

シーズン2は各チャレンジからファイナルまでノートパソコンで参加した。チャレンジでは、あらゆる縛りプレイに手を出し、他のプレイヤーが磨いていない感覚を磨き、抜きん出ようと考えた。ファイナルでは欲張って配信をした。PCの性能が追いつかなかったためかラグがひどく、早朝もきつく、4レースでの敗退となった。これに懲りて、シーズン3とセミファイナルはスマホを採用した。


その2,〈睡眠リズム調整作戦〉
シーズン1ファイナルは、日本時間の夜に開催だったが、シーズン2、3のファイナルとセミファイナルは日本時間の早朝(ほぼ夜)に開催だった。
セミファイナルが早朝開催なのはわかっていたので、シーズン2、3のファイナルで睡眠リズムの調整実験をした。シーズン2ファイナル時の睡眠をよく覚えてはいないが、おそらくいつもより2~3時間早く布団に入っただけだと思う。この方法は早く寝つくことが難しく、十分な睡眠時間が確保できないことが多い。実際、目覚めたときはしんどかった気がする。レース後に2時間くらい寝た気がする。
シーズン3ファイナル時の睡眠は最近なので覚えている。前日昼過ぎあたりに1~2時間寝て、夜はいつもより1~2時間くらい早く布団に入った。これも寝起きはあまりよくなかったが、パフォーマンスはよかった。
睡眠リズムをずらすこれらの方法は、これまでにも早朝レガッタに参加するときに用いてきたので、それを改めて試したにすぎない。しかし、どちらも万全の調子を作るのは難しいようだった。日中にがっつり寝て夜は起きっぱなしでレースを迎える、という方法もあるのだが、直前に寝落ちしそうになった経験があり、レース後にリズムを戻すのもひと苦労なので、新しく、より健康的な方法に手を出すことにした。
その方法とは、数日前から30分ずつ布団に入る時刻を前にずらす、というものだ。起床時刻は最初の数日は決めなかった(アラームを設定しなかった)が、前日の朝は決めて起きた。前日の朝までは順調だったように思う。
当日は、いつもよりは睡眠時間を短くしつつも短すぎない時間設定で、日常と同じような入眠と覚醒の実現を目指していた。現実は甘くなかった。眠りに落ちる前、緊張でからだが火照った。考えごとも尽きなかった。なにより寝坊しないか心配だった。私は奇妙な体験をした。目を閉じて意識が消えるのを待っていると、両手が震えだすのである。手全体が異様な速さで脈打つのを感じた。十数秒でおさまったように記憶しているが、それが2度ほどあった。結果として、布団の上には6時間ほどいたが、眠ったのはその半分くらいだと思う。本物の緊張があると、計画はいとも簡単に狂うらしい。シーズン3ファイナル前に感じた緊張(緊張ですらなかったかもしれない)とは大違いだった。
次、睡眠リズムを調整する必要に迫られたときは、数日前から昼夜逆転生活に変えておく、というような思いきった方法も検討したい。

その3,〈レース前&レース間のおやつ作戦〉
シーズン1ファイナル:夕食後のため、なし
シーズン2ファイナル:家に常備されているチーズ
シーズン3ファイナル:たまたまあった、梨
セミファイナル:自分で買った、ようかん&焼きめざし&飴

早朝、朝食を食べるには早すぎるが何も食べないわけにはいかないので、おやつが必要になる。用意できるなら、梨や果物が一番いいかもしれない。また、飲むあんこなどもあるとすばらしい(何度も購入を考えたが今回は見送った)。焼きめざしはちょっとしょっぱくて苦味があった。ガジガジ噛んでいるうちに元気が出た。


その4,〈気を落ちつかせよう作戦〉
セミファイナル前日の夜の眠る前は気が高ぶっていたが、それ以外の時間はそこまでの緊張に出くわさなかった。レース中も比較的落ちついていた。
レース前も落ちついていた。私は大会直前に練習しすぎないように心がけている。ゲーム体力を残すためと、焦りが生じるのを防ぐためだ。学生時代、定期テスト当日の朝は何もしなかったのと同じように。
そのかわり、前日までに不安なところは確認しておいた。かといって過剰に練習することも避けた。前日にあがいても仕方ないと思っている。私は昔、トレーニングの結果は約3カ月後に出てくる、といった内容の言葉を身近な大人から聞いた。その言葉に納得してしまうような経験が今まで何回もあったから、私はそのタイムラグを、3カ月後かどうかは置いといて信用している。
前日の午後、私は散歩した。晴れていた。川沿いを歩いた。トンボが大量にいた。私はトンボの写真をたくさん撮った。トンボを観察しているうちは、次の日のセミファイナルのことなど忘れていた。トンボに夢中だった。今の季節はセミよりトンボなのだ。

私がセミファイナルのレース中に落ちつけたのは、他にも理由があるだろう。
「勝ちたい」という燃えあがる気持ちと、「負けても平気」という開き直りの気持ちと、「きっと勝てる」という余裕ぶった気持ちと、「負けるときは負ける」という気楽な気持ちと、「自分のためだけにがんばろう」という自己中な気持ちと、「誰かのためにもがんばろう」というヒーロー気取りの気持ちと、あれやこれやの気持ちとがケンカせずに私の中に同居していた。
それは一朝一夕では至ることができない心理状態なのだと思う。これまでの勝ちや負けや成功や失敗がこの状態まで導いてくれたのかもしれない。


作戦の紹介およびブログは以上である。
eセーリング世界王者への道のりは険しいことを痛感したKG-Rであった。

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