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「ジョジョ」に学ぶ戦士の心 (KG-R)

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先日、「ジョジョの奇妙の冒険」の1部2部を電子書籍のカラー版で読んだ。私がジョジョと出会ったのは、兄のおすすめがきっかけで中学生の頃にテレビで放送された1部2部のアニメを見て大ファンになった。3部から8部の最終巻までは文庫本や単行本で読み、3部から5部まではアニメでも見た。6部のアニメはまだ追えてないので、今度時間のあるときにNetflixなどで見ようと思っている。

なぜ今になってジョジョを漫画で復習したのかというと、ジョジョのファンであることを堂々と公言するには、1部2部を原作である漫画で味わわなくてはならない、と思ったからである。それに、原作とアニメでは多少異なる点があるのを把握していたので、いつか読みたいとつねづね思っていたのだ。
アニメで見た内容もほぼほぼ忘れていることだし、新鮮な気持ちで楽しめるだろう、くらいに軽く考えていたが、いざ読みすすめていくと想像以上におもしろかった。それは物語としておもしろいだけではなかった。eセーラーとして戦いつづける運命にある今の私に、戦いへの姿勢や考え方を見直すための多くの手がかりを与えてくれたのだ。

一番大きな気づきは、どの勝負の世界にも主人公タイプと悪役タイプがいるということ。
悪役のディオやカーズはどんな手段を用いてでも自分の願望を叶えようとする一方、主人公のジョナサンやジョセフは修行やいくつかの戦いを通して成長していき、相手に真っ向勝負をしかけていく。
ピンと来た人は、私がこれから何に言及するか分かっただろう。そう、ペナスタ(故意にペナルティを受けてからスタートをするeセーリング専用の技術)である。VRIにはペナスタを活用する人としない人がいるのだ。
ディオが石仮面に手を出すシーンや、カーズの「勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」を見たとき、「ディオやカーズにVRIをやらせたら間違いなくペナスタをするだろうな」と思った。ジョナサンは決してしないだろう。ジョセフは……うーん、主人公であるが奇策が好きなのでペナスタをほどほどに取り入れるかもしれない。
とにもかくにも、私は1部2部を読むことで、勝負の世界には勝ち方にこだわる人とこだわらない人がいる、という普遍的な事実を思いだせたのである。ジョジョの物語で最終的に悪役が負けるのは単にそういう宿命だからで、主人公と悪役の実力はクライマックスの手前まではかなり拮抗しているのが常である。
ここで気をつけなければならないのは、主人公と悪役、というのは物語における役割名にすぎないのであって、勝ち方にこだわるかどうかに絶対的な善悪をつけることはできない、ということ。
戦いの場はいつだって厳しい。スポーツや競技において、選手は決められたルールさえ守っていれば、あとは何をしてもいいことになっている。どの選手も、勝つために全力を尽くす。

今回ジョジョを読む前までの私のペナスタに対する心構えは「自分はやらない。他人に勧めない。必要であればペナスタを全力でつぶしにいく。不平は言わずに自分の腕を磨く。ペナスタする人に負けたときは負けを認めるが、敬意は持たない」というものだった。
だが、読んだ後はすこし変わった。ペナスタした人が1位になったときに「おみごと!(Well done)」を送らないという静かなアピールは続けているが、いくらかの敬意は持つべきだと今は考えている。
戦いへの必死さに対して、勝ちへの執着心に対して、そのスタイルを貫いていることに対して、そして自分ができないことを平然とやってのけることに対しての敬意。いかなる相手であれ、敬意を持たずに接するのは、真の戦士でもなければ、真の紳士でもないと思うようになった。
誰に対しても敬意を持つことで、青レースなどのランキング上位プレイヤーの実力をより素直に認められるようになった。そして、先日行われたOES予選7の決勝では、参加選手全員に対してまったくネガティブな印象を持たず、この良きライバルたちに勝ちたい、良きライバルたちだからこそ勝ちたい、というポジティブな気持ちでレースに臨むことができた。敬意が欠けていたときは、余計な感情に付きあわされることが多かったように思う。

この記事を書いているのは2023年5月で、ペナスタを規制するシステムの導入が進んでいるとの発表がついこの前あった。VRIがより質の高いヨットレース体験を提供するゲームになってくれれば非常にうれしい。
したがって、ペナスタをする人はもうすぐいなくなるかもしれないが、公式イベントの(予選の)決勝レースを2回制した今、自信を持って次のことを言っておきたい。
「普通のスタボスタート、強いよ?」

ジョジョから学んだことをもっと書きたいところだが、ブログが長くなってしまうし、未読・未視聴の人の楽しみを残しておきたいので、心に残った名言と、荒木先生のインタビュー記事をそれぞれ1つだけ紹介して締めようと思う。

・1部、ウィル・A・ツェペリの台詞より
「勇気」とは「怖さ」を知ることッ!「恐怖」を我が物とすることじゃあッ!

・興味があれば読んでほしい記事
「これ以上、王道の漫画はない」――荒木飛呂彦が「ジョジョ」を描き続ける理由 – Yahoo!ニュース

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