バーチャルレガッタ講座

いつでもどこでも誰でもeSailingを楽しもう!

スウェーデン遠征記その2 ~皆で遠足編~ (KG-R)

コメント(0)

土曜日の深夜に目が覚めた私は、トイレに行ってからもう一度眠ろうとしたが眠気がまったくなかったので、しばらく起きていることにした。
仙骨枕という、頚椎から仙骨までを矯正できる器具をお守りとして持ってきていた。ベッドの上で使ってみたが、ベッドがあまりにも柔らかくて骨をうまく押せなかった。かといって土足で歩く床でやるわけにもいかなかった。それでも少しは効果があることを期待していつもやっている1セットをこなした。背骨に効くストレッチもしているうちに軽く眠気を感じたので寝た。

目を覚ますと3時半で、朝食を予約している8時までまだまだあった。この日の外出で持っていく荷物を整理したり、行く場所や利用する駅について調べたりした。準備が終わってもまだ2時間以上余っていた。眠ろうとしても眠れず、数独をやることにした。難しめの問題だったので解くまでに1時間と少しかかった。
ちなみにどれくらいの難しさかというと、空いている残りのマスすべてについて、入る数字の候補を書きださないと進めないような局面が序盤にあるくらいである。数独で得られる快感は、知恵の輪で得られるそれと近い。思考が沼にはまって出口が見つけられない状態が続いたあとに突如訪れる閃きがたまらない。

その後も自室でだらだら過ごした後、朝食を食べにいった。朝食の受付の人がバリバリのスウェーデン語で話してくるので聞きかえしてからルームナンバーを伝えた。通されてから Thanks と言った。セーラーとして馴染み深い発音のはずのTack がなかなか口から出てこなかった。学んだばかりの現地の言葉を言うのを気恥ずかしく思っている自分がいた。
前日は夕食を食べずに寝ていて、朝食の前にお菓子を少し食べた程度だったので、目についた食べ物を皿にどんどん盛っていった。飲み物は適当に選んだ結果、ジンジャーショットのジンジャーが思いのほかきつく、次に水かお湯が欲しくて液体を注いだコップには熱々のコーヒーが注がれた。今回の旅はなかなか飲み物運に恵まれなかった。
盛りすぎた朝ごはんを夢中で食べていると Harder 夫妻が現れ、大きなテーブルの斜め向かいに座った。次に Alberto が現れ、私の隣に座った。その後は Antilaが友人とともに朝食を食べにきたが別の席に座った。

私は一度おかわりして満腹になった後、他の人たちより先に席を立った。自室へ戻るときにフロント付近でレースオフィサーや Lorenzo に会った。シャワーを浴びてからインタビューのためにフロントに行った。そこで Kazuki さん、あけさん(Kazuki さん母)と顔を合わせ、久しぶりに日本語を聞き、日本語を話した。インタビューを待つ間に asere と出会った。
共有スペースでの撮影のため、周りの雑音が入るたびに中断したり少し前からやりなおしたりした。ちなみにそのインタビューは日本語で行われ、カメラマンがあとで Chat GPT を使って翻訳するとのことだった。私は Kazuki さんに質問原稿を読んでもらい、それに答えていった。

11時からeセーリング関係者一同がフロントに集まった。この日は運営が企画した遠足イベントがあった。遅れて到着する Ramon・Alex・Farley、一部のレースオフィサーはいなかった。
最初は Change of the Guard という式を見るべくストックホルム宮殿へ向かった。私は結局靴を買えなかったので、靴下を2枚履いて外を歩いた。それで防寒はばっちりだった。
降りた駅でグループが2つに分かれてしまったものの、式の行われる場所で合流した。駅から宮殿に行くまでの景色だけでもじゅうぶん満足できた。
式の観客が多く、建物の中心から少し離れたところにいたので、細部まで見届けることはできなかった。それでも雰囲気を味わうことはでき、式の終わりには衛兵が目の前を行進していくのを見ることができた。スウェーデンや北欧の歴史に思いをはせた。

式の後は、歩いて数分くらいの距離にあった Restaurant C&C でランチを食べることになった。店内にはトナカイか何かの頭が飾られていた。ビールを飲むテーブルと飲まないテーブル、運営メンバーだけのテーブルに分かれて座った。
私は Kazuki さん家と Omer、カメラマンと同じテーブルを囲んだ。このカメラマンは持っている機器がボロボロだったり、あらゆるデバイスのバッテリーがピンチだったりと、正直この人で大丈夫なのかと思った。しかし、本人はあっけらかんとしていて、空き時間さえあれば撮影したものの編集などをこつこつと進めていた。

おそらくランチ用の一品物が載ったページから食べるものを選ぶことにした。どのメニューも使われる材料は書いてあるのだが、料理名がどれもいまいちピンとこなかった。Kazuki さんとあけさんは、どうせならスウェーデンならではの食べ物をということで、ムース料理を頼んだ。私は朝ごはんを少し食べすぎていたのでお肉という気分にはならず、フィッシュシチューを頼んだ。
シチューくらいピンとくるだろうと思った読者のために弁明しておく。長いことシチューを食べもしていなければ見もしていないと、「シチューってカレーみたいなやつだったっけ。たぶんおいしい食べ物」くらいの認識になってしまうものだ。私はシチューを思いだす必要があった。ここストックホルムでどうしても思いださなければならなかった。

運営メンバーのテーブルは少し離れていたので様子は分からない。ビールを飲むテーブルはすぐ隣にあり、ビールが届く前から騒がしかった。
注文後すぐに飲み物が運ばれてきた。私のもとには、行きのフライトで飲みそこねた牛乳が来た。こんなにおしゃれなグラスに注がれた牛乳を私は見たことがなかった。時が満ちて乾杯をするまでの間、その牛乳のうまさを想像して牛のごとく唾液を大量に分泌していた。
先に飲んでもよかったのかもしれないが料理の到着を待つことにした。モウこれ以上待てないというタイミングで、想像よりおいしそうなシチューや他の人の料理が運ばれてきた。テーブルの皆でいただきますをしてからグラスをゆっくりと傾けた。

幸せな食事を終えた後、ビールを飲んでいるテーブルにようやく料理が届きはじめた。全員が食べおえ、店を出るころには14時半になっていて、入店から2時間近く経過していた。予定では次の場所に14時ごろに着くことになっていた。ランチ代は運営が出してくれるのかと思っていたら自腹だった。
店を出る前にトイレに行っていたら置いていかれ、迷子になりそうになった。先ほど降りた駅に向かおうとすると、反対方向からあけさんが走ってきて案内してくれた。近くの駅(Gamla stan)から電車でさっきの駅(Stockholm City)に行くようだった。そこで乗り換えて、Älvsjö(エルブショー?)駅へと向かった。ここの電車ではペットをリードに繋いだ状態で乗ることができるようで、大きめの犬を連れたマダムが乗っていた。その犬は元気で、いろんな人に飛びつき、車内が温かい空気で満たされていった。

電車を降りて西の空を見ると、もう夕方の色合いだった。この駅に来たのは、DreamHack というゲームイベントのためだ。幕張メッセのような大きな会場にいくつものブースが用意されていて、メインステージでは大会も行われたりする。ゲームやアニメのグッズを販売するお店や、コスプレスペースもある。そんなイベントに、スウェーデンセーリング連盟による VRI のブースが出ており、そこを訪れることが目的らしかった。
会場に着き建物内に入ろうとすると、イベントスタッフに「バッグを持っている人は入場できない」と言われた。eセーリング関係者一同はバッグの問題を解決できるまで外で待つことになった。そのルールは運営メンバーも把握していなかったらしく困惑しており、私たちに事前に知らされることもなかった。
貴重品だけ各自持って、バッグを運営メンバーが外で見張ることになった。バッグさえ持たなければ手荷物検査はほとんどされずに建物の中に入れた。チケットを見せてホールに入ると、そこには音と光と人が溢れていた。周りをきょろきょろしながら奥のほうへ進むと目当てのブースがあった。

ブースはしっかりと作りこまれていて、大人気とは言えないまでも子どもがよく訪ねていた。ブースのそばで Kazuki さんたちと話しているうちに、スタッフとして働いていた Foiled1、Harding に声をかけられあいさつした。スタッフは他にも何人かいて、明るいお姉さんと少し話したりしたが、VRI をあまりやってないスタッフもいるようだった。しばらくしてから Romell やファイナリストのRamon が登場した。ちなみに外に置いてきたバッグは途中で運営メンバーがどうにかしてブースまで運んできてくれた。
集められたファイナリストは特に何か仕事を任されるわけでもなく、それぞれ適当に時間を過ごした。暇そうにしていた Kazuki さんと私は、そこのスタッフにつかまってインタビューを受けたり、マイクを渡され「日本語で騒げ」という無茶ぶりをされたりした。インタビューが終わったあと、インタビュアーの青年に私は意を決して Tack så mycket と言ってみた。こうかは ばつぐんだった。
それから少しして、そこに集まったeセーラーで何本かレースをすることになった。2回終わったところで、急にほてりを感じだしたので3回目は休んだ。それが終わるとやることがなさそうだったので、会場をひとりで回ることにした。

まずはトイレに行きたかったのでホールを出た。ホールの外の廊下にはコミケのような雰囲気のお店が並んでいた。廊下を挟んだ反対側のホールにはパソコンが大量に並べられており、ゲームができるスペースのようだった。元いたホールに戻ってあたりを見回していると見慣れたゲームを見つけた。日本のアーケードゲームが並び、その半分くらいが音ゲーだった。
日本ではゲーセン離れが進み、ゲーセンの数も減っているので、その光景はありし日のゲーセンを思いださせた。日本では比較的プレイ人口が少ない(減ってきている)機種も遊ばれていて、ほほえましい気持ちになった。

そろそろ会場を離れディナーへ向かうという連絡が届いたので急いでeセーリングのブースに戻った。わずか2時間ほどの滞在で、ゆったり過ごしてはいたけれど慌ただしく感じた。
また電車で少し移動した。Stockholms södra 駅で降り、予約しているレストランまで歩いた。この日利用した駅は5つめで、駅ごとに周辺の雰囲気がだいぶ違うことを知った。夜になったこともあり、横切った公園ではイルミネーションが輝いていた。
Kvarnen というそのレストランは趣のあるやんちゃな内装だった。店内は広く、地下にはクラブのようなスペースがあった。席に荷物を置いて少ししてからトイレに行った。地下にある男子トイレに入ると、まず左手に銀色の壁があり、壁際の足元が金網になっていた。少し奥に入ってから右に行くと洗面台と個室があった。ここは男子トイレなので、小専用のトイレがあるはずだった。銀色の壁の前に戻った。その壁は濡れていた。一定の間隔ごとに水が流れるらしかった。郷に従うしかなかった。

席に戻ると、先ほどまでいなかった Oscar が自分の左の席に座っていた。昨年もディナーのときは Oscar が隣だった。私の向かいにはあけさん、Oscar の向かいには Kazuki さんと、Oscar は昨年同様、図らずも日本人に囲まれることになった。
一品目が届くまでかなり待たされた。卓上に用意されていたパンを Alberto が次々に食べていった。あけさんや Oscar もパンに手を伸ばしていた。私は朝、昼とたくさん食べたわりにはそこまで体を動かしていないのでおなかが減っておらず、昨年のディナーではその量の多さに苦しめられたのでパンを食べなかった。
この日は起きた時間が早かったからか、19時前だというのに眠気を感じはじめていて、たくさんしゃべる元気はなくなっていた。

ディナーは2種類のコースから選ぶことになっていて、事前にアンケートが取られた。私はどちらでもよかったが、デザートが決め手となり1のほうを選んだ。他の人たちはほとんど2で、1は運営陣を含めて私以外に2人しかいなかった。
一品目を運んできたウェイターが「ベジタリアン!ベジタリアン!」と大声でテーブル全体に聞いてきたとき、誰のことだろうとピンとこなかった。だが多くの人が無反応だったことから、私の選んだ1のほうがベジタリアンコースなのだとわかった。
一品目はチーズパイとサラダだった。初めて食べたチーズパイは美味だった。誰と何をどのタイミングで話したかはっきりとは覚えていないが、斜め右に座っていた Romell としばらく話した。Romell は明日の大会で欠場者が出た場合のリザーバーとして呼ばれていたようだった。食べたり話したりしているうちは少し目が覚めていても、基本的には疲れているので自分から誰かに話しかけることはあまりしなかった。

二品目はポテトのほくほくしたやつに、きのこと赤くて甘い実がたくさん添えられている料理だった。ポテトの塊は3つあり、1つ食べた時点で限界が近づいているのを感じた。ポテトを避けて、きのこと赤い実を食べていたら、それはそれで量が多くてどんどんきつくなっていった。
右隣に座った運営の Giovanni に、Scary Movie の動画を見せられ「フジツウ」で盛りあがった。彼の奥さんは日本が好きで、一時期日本語を勉強していたらしい。さらに日本に移り住みたいとも言われたらしいが、Giovanni がそれを拒否したようだ。
話が落ちついてから2つめのポテトをがんばって食べようとしたが、途中で諦めた。せめてポテト以外は食べきろうと無理して食べた結果、体が熱くなり汗をかきはじめ、多少の吐き気を感じた。実際、レストランに人が増えてきて店内に熱がこもってきていたのかもしれない。
そんな状態になりながら、たまに Omer や Alberto と業務連絡をするくらいで退屈そうにしている Oscar に話しかけ、今後の VRI について聞きだした。あけさんも会話に混ざり、結果的に Oscar から笑顔を引きだすことができた。それからOscar と Kazuki さんが会話するきっかけを強引に作ってから、私はTシャツ1枚でトイレに行った。

トイレは外気が入ってくるおかげか涼しかった。吐き気が強くなったら吐いてしまおうと思ったが、そこまでではなかった。むしろ、食べすぎから生じたほてりによる予期不安のせいか、体が震えた。単に寒かっただけかもしれない。席に戻るころには少し回復したものの、体調は芳しくないのでおしゃべりもそこそこにじっとしていた。
実況の Alec がこの前後のタイミングで到着した。二品目が下げられてデザートを待つ間、私は Giovanni がスマホで猫の写真や動画を次々に見ていたので話しかけてみた。彼は猫の保護活動をしているらしく、もらい手が見つかるまではシェルターで飼うらしかった。今は10匹以上の猫がいて、多いときはもっといたらしい。犬も何匹かいるらしい。その写真や動画を見せてもらうことで、満腹でしんどい体をクールダウンさせた。
デザートのソルベが届いて、これなら冷たいし飲み物みたいなものだからと食べてみた。また吐き気がこみあげそうになったので、ふた口くらいでとめた。
Lorenzo が誕生日だとか誕生日が近いとかで、各国のバースデーソングを何度も歌う流れになった。英語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語の後に、Kazuki さんが日本版の歌を求められて「ハッピバースデートゥーユー」と歌い、そうじゃなくて日本語でと言われ、これがジャパニーズスタイルだと言って、オチがついた。

私以外にも全体的に疲労の色が見え、やっと解散の雰囲気が出た。Kazukiさん、あけさんとともにひと足先に立ちあがり、店を出ることにした。入店から3時間半くらいたっていた。
外の風と寒さが、私の眠気と背中のいやな汗を奪っていった。これからさらにパーティーに参加する人もいるらしく、全員が出てくるまでまだまだ時間がかかりそうだったので、パーティーに参加しない私たちは先に駅へ向かった。
結局、Lorenzo、Nico、Alec も同じ電車でホテルに向かうことになった。みんな静かに電車に乗った。Solna 駅からショッピングモールの中を通って、フロントではない入り口からホテルに入った。部屋に着いたのは23時ごろで、シャワーを浴びて荷物の整理をしてからすぐに寝た。


疲れた日を思いだして書くのもなかなか疲れる。長い2日目だった。次の日の試合のことをほとんど意識する暇もないまま1日が終わった。何度か体調が怪しくなったものの、薬をのまずに無事ホテルに帰ってこられただけで満足だった。

次回はいよいよ試合当日について書く。
そして最後はお決まりの写真コーナーだ。
(写真を最後にまとめて載せる理由の一つは、まず文章から風景を想像してもらいたいからで、もう一つは、文章を読むのが苦手な人のために写真を一か所にまとめておいたほうが見やすそうという配慮からである)

(その3へ続く)
スウェーデン遠征記その3 ~世界3位になる編~ (KG-R) | バーチャルレガッタ講座 – ゲームウィキ.jp


・写真コーナー

ホテルの朝食。訳も分からず盛っていた
ホテル出発直後に偶然撮れたKazukiさんのベストショット
靴下2枚履きで足元ぽかぽか
Stockholm City 駅で下車
ようやくストックホルムを感じる風景
川!
鬼瓦のような装飾
宮殿へと向かう道
スウェーデン国旗がなびいている
青空にかもめのような鳥
衛兵登場
トランペットとドラムの音が鳴り響く(動画あり)
宮殿の外の道を行進する衛兵
にぎやかな商店街
静かな横道
Restaurant C&C のメニュー(一部)
おいしい牛乳
おいしいシチュー
Älvsjö 駅に到着したときには夕方
雨を完全には守ってくれない屋根
DreamHackの会場。バッグの持ち込み禁止
バッグを預けて建物の中へ
さらに奥へと進みホールの中へ
もちろん Nintendo ブースもある
VRI ブースに着いてすぐインタビューを受ける Lorenzo
子どもたちがいっぱい集まっている
スウェーデンセーリング連盟ののぼり
インタビューを受ける筆者と Kazukiさん
ブースを占拠する大きいお友達
イベントのホールマップ
VRI ブースは60番
ホールを出るとフリーマーケットのようなお店が並んでいる
見慣れた音ゲーたち
中学・高校時代にお世話になったjubeat
大学時代に少しはまったDDR
Stockholms södra 駅。すっかり夜
公園はイルミネーションで彩られている
eセーリング関係者大集結
チーズパイとサラダ
大きいポテトときのこと赤い実
デザートのソルベ。おいしかったが完食できず
帰りの電車に乗る前に鳩に遭遇。何枚か撮ったがほとんどぶれた
Solna 駅からショッピングモールを通りぬけてホテルへ
11月23日(土) ストックホルムの気象状況

コメントを書き込む


Protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

まだコメントがありません。

×