下りレグは、風上にいる後続艇が有利なので、上りレグより逆転が起きやすいです。先行艇の守り方、後続艇の攻め方を知りましょう。なお、本ページでは風上に向かって右海面=風下の進行方向に向かって左舷側(ポートサイド)と呼びます。
下りレグを走る大前提として「どちらの下マークを目指すか」という問題があります。
正解は「ロング側を目指し、回航後に即タック」が基本です。下図のように右振れであれば、下りポートロングなのでPマーク(進行方向左舷側)が近い・高いです。更に下マーク回航後の上りもスターボロングになるので、高い方へ回ってロングに向かうことになり、それだけで逆側を選択した艇に大きく差がつきます。
リーチングレグ編でも触れましたが、特にランニング角度が深いStarとILCAは、ロングと下マーク or フィニッシュラインの有利不利を、オフセットマーク回航時~下りレグ序盤から識別しましょう。
後続艇のカバーを大きく避けることができますし、またコースの引き方、使えるレースエリアも変わってきます。
しつこい後続艇に後追いされた場合は、俯瞰ビューなどで後々続艇の位置を確認して、そのカバーに入れるようにしましょう。
しつこい後続艇は、頭に血が上ってこちら(前)ばかり見て、後ろを意識していないことが多いので、まんまと引っかかることが多いです。また、冷静な後続艇であれば追うのを止めてくれます。
下りレグでは、ブランケを利用して先行艇に追いつく(後続艇に追いつかれる)ことは比較的容易です。ですが、追いついて並走状態になるとブランケ関係が無くなり、そこから抜き去る方法は、ポースタの権利を主張することが中心になり、並走で膠着することがとても多いです。
そうなると、スターボ権利を主張できる左舷側(右海面)が基本的には勝ちますので、追いつく・追いつかれる場合は、左舷側に追いつく位置取りを原則にします。
ブランケにかぶせたい後続艇と、かぶされたくない先行艇、または右海面を取りたい先行艇と、取られたくない後続艇が、ラフィングマッチに突入することがあります。マッチレースでは定番の攻防ですが、フリートレースにおいては後々続艇に抜かれる可能性が極めて高い、できれば避けたい動きです。
こうならないために、予め大きく逃げておくか、後々続艇を使う必要があります。
使える後々続艇が遠い場合に、後続艇を遅らせる目的でラフィングマッチすることはありますが、この場合、逆に自分と先行艇の差は広がるので、順位を上げることは諦めることになります。
下りレグの序盤に、1対1関係の先行艇を抜くと、下りレグは後続艇の方が圧倒的に有利なので、返り討ちで抜き返される可能性が高いです。
抜き去った艇が、確実に更なる後続艇と絡むようであれば、序盤に抜いた方が良いですが、特に最終レグなどは、抜けるチャンスがあってもレグ終盤まで有利な位置をキープしながら抜かさずにおいて、再逆転される可能性が少なくなった時点でペナを与えた方が賢い場合もあります。
下マークにアプローチをする際は、その艇種の旋回半径を意識して、その間隔分をレイラインから幅を取ってアプローチする必要があります。特に旋回半径が大きい高速艇や大型艇で、マークからどの程度離れれば最短で回れるのかの間合いを把握しておきましょう。
近すぎても遠すぎてもいけませんが、不慣れなうちは遠目にアプローチして回航を始め、アビーム90°方向に下マーク下端が見えた時点で、いったんティラーを戻しマーク真下ギリギリを直進し、通り抜けたら再度ティラーを押してクローズBestVMGに入る練習から始めると良いでしょう。
ゲートの下マークについて、高さが同じ艇同士なら外側のレイライン(左舷側Pマークであればスターボレイ、右舷側Sマークであればポートレイ)からアプローチした艇が、先にマークゾーンに届きます。
ボートコントロールは難しいですが、下図のようにあえて+2ジャイブを増やすことで、先にゾーンを取ることができます。青艇の立場で言えば、レイラインの手前で早めにジャイブを入れて、ゾーンに入る前にスターボ権利を主張しなくてはいけません。
リーチングレグ編でも解説した、18条マークエリア直前でラフィングして後続艇のオーバーラップ切る技術は、下マークでも有効です。詳細・注意点はリーチングレグ編>18条エリア前ラフィングでのラップ切りをご参照ください。
フィニッシュラインのアウターには18条のマークエリアが表示されていませんが、ルール自体はVRRSでも有効です。最後の競り合いで権利関係が逆転することが多いので注意しましょう。本部船側にはもちろんありません。
鼻先で競っている時は、フィニッシュラインはベアまたはジャイブで通過することで鼻先が前に出る場合があります。ただし早すぎると失速しますので、慣性で前に出られるギリギリ直前である必要があります。
これによってブレーキがかかる強風時の高速艇などは、そのまままっすぐフィニッシュラインを突っ切たほうが良い場合もあります。
バーチャルのみの小技(?)で、リアルでは通用しませんが、フィニッシュアウターや、フィニッシュ運営艇への接触は31条ホイッスルこそ吹かれますが、失速ペナルティはフィニッシュ後なので、実質的には「お咎めなし」「やったもん勝ち」ということになります。
近接でミリ単位の鼻先争いしている際は、マークや運営艇に当ててでもフィニッシュラインのギリギリ端を狙った方が良い場合もあります。
しつこい後続艇とジャイビングマッチに突入した場合は、ジャイブするフリで一旦デッドランまで落として、風位を越えずに元のBestVMGに戻す「ジャイブフェイク」が有効です。このフェイクは、有利サイドに向かっている時に使いましょう。
スタボー並走で有利な左舷側を取られて、ポートレイラインの外に追い出されたり、終盤にペナを取られそうな合などは、思い切りラフして距離をとってからジャイブすることで、相手艇の後ろを通ります。
追い抜かせてでも、左舷側を取り返した方が有利になる場合もあります。
真後ろに近接された場合、わざとベアして後続艇に追いつかせてオーバーラップさせ、後続艇が11条(上下)を取るためにラフを始めた一瞬遅れでこちらもラフして、ラップを切って12条(追突)ペナを取る、通称「尻振り」を行います。
49erやNacraなどの高速艇を中心に、スターボ同士で後続艇に追いつかれそうな場合は、わざとベアして風下のブランケに入り、相手に上側へ追い越しをかけさせる代わりに、有利な右海面(左舷側)を取る方法があります。
ランニング角度が深いStar・ILCAや、それ以外でもOffshoreRacerなど一部の艇種で、スターボ先行艇の左スタン角ギリギリにバウ先を狙うと、右舷前方にも僅かにブランケが生じてオーバーラップに追いつけることがあります。先行艇が舵を切ると12条を取られる場合がありますが、離れすぎていると一生追いつけませんので、ギリギリを果敢に攻めましょう。
なおF50の場合、この位置関係は先行艇の最も強いブランケ場所になりますので、ズルっと離されます。
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