青レースのスコアがここ最近伸びないのは、きっとブログを書かずにいたからだろうと楽観的になりたいものの、練習不足であることは自分でわかりきっているKG-Rです。
いまさら選ぶべきテーマではないかもしれませんが、ペナルティスタート(以下、ペナスタと略します)について今一度考えてみたいと思いたちました。というのも、私はペナスタに遭遇すると、平常心を保とうと努めていてもつい感情的になってしまうときがあるからです。(ペナスタとは、スタート時刻直前にわざとペナルティを受けて自艇を透けさせ、他艇と重なることを前提としたスタート方法のこと。ピンの位置で行われることが多い)
何をいまさらペナスタに対して思うことがあるのやら。通常のスタート(以下、純スタと呼びます)で勝てばいいだけだし、それで高いスコアの人が実際にいるのだからその人を目標にして練習あるのみじゃないか。そんなふうに自分の中では心が決まっているつもりです。それなのに、今になってもペナスタに嫌な気持ちを抱いてしまうときがある。私はいったいペナスタの何が気になっているんでしょうか。
ペナスタの基本的な情報からおさえていきましょう。
ペナスタは万能じゃありません。状況によって、純スタをした艇より不利なスタートになります。しかし、状況によっては純スタをした艇より有利な位置を獲得できます。
状況というのは、他艇の待ち方、スタートライン近くの風の強弱、艇種、上マークまでの海面の色、などのことです。つまり、ペナスタをするかしないか判断するところにプレイヤーの腕の見せ所があります。現状ではペナスタがゲームシステムで規制されていないため、しようと思えばルール上は誰でもできます。
そのため、「ペナスタはゲーム上で禁止されていないうえに、eセーリングにおけるれっきとした(学べば身につけられる)技術なのだから、ペナスタをすることには何も問題がない」というような考えを持つ人が一定数います。
ゲーム上で禁止されていないということは、いくらペナスタを控えましょうと呼びかけたところで、呼びかけの届かないところにいるや聞いてくれない人は続けるでしょうし、新たにペナスタをする人が次から次へと出てくるでしょう。そんな状況下でおとなしくペナスタを放棄したら、ペナスタを続ける人にやすやすと勝ちをゆずることに繋がりかねません。こういった事情などから、ペナスタを手放さない(手放せない)人がたくさんいるのだと私は考えています。
この話に既視感をいだいた人は多いんじゃないでしょうか。少しおおげさな表現になってしまいますが、ペナスタがなくならないのは、銃や核兵器が世界からなくならないのと同じ仕組みな気がします。そう考えてみると、(バーチャルレガッタ社が対応しないかぎり)ペナスタが無くならないのは仕方ないことだと割りきれなくもないです。
ルール上は誰でもできるペナスタですが、ペナスタは誰にでもできるものではありません。まず、ペナスタのやり方がわからなかったり、技術が足りなかったりする人はできません。それと、心情的にやりたくない人もできません。
VRIでは実際に、ペナスタをする人、(心情的に)しない人、(技量的に)できない人が共存しています。しない人の私としては、する人がやっている競技と、しない人・できない人がやっている競技は別物なんじゃないか、と思います。すごく似ているけど別物。異なる競技をしている人と競う必要はないはずのに、同じレースに参加しているのなら無視できません。
ペナスタがルール上許されていることが、ゲームに不公平をもたらしているのでしょうか。私は必ずしもそうだとは思っていません。人には差があります。ペナスタなしの土俵ではどうしても埋められない差があるとすれば、ペナスタがその差をいくらかならす役割を担ってくれるでしょう。
さて、ここまではどちらかといえばペナスタを擁護するようなことを書いてきましたが、こういった心構えがあっても、レースでペナスタに遭遇すると我慢ならなくなってしまうことがあるのです。
上ピン即タックをしたいスタート時、ペナスタする人がいると、純スタをする人は完璧に近いスタートをしないとペナスタ艇をつぶすことはできません。少しミスをすると、ペナスタがいなかった場合よりも数位分、不利な位置に追いやられたりします。先日、私がペナスタ艇つぶしに勤しんでいたときに思ったことがあります。
「ペナスタ艇をつぶすために、周囲の純スタ艇団に与えなくてもいいペナルティを与えたり、きつく寄せてつぶしたりするのはどうなのか」
「ペナスタ艇をつぶす専用の技術(即タック後、ペナルティ解消直前のペナスタ艇に重なってペナルティ時間を延長させることなど)を磨くことに、どんな意味があるんだろう」
ここにペナスタの大きな問題があるんじゃないか、と今は考えています。
ペナスタはそもそも、艇が物理的に衝突しないVRI限定の技術です。その技術を1人で勝手に磨いてもらうぶんにはけっこうなんですが、ペナスタ艇への対応法(これもVRI限定の技術)の習得をペナスタしない人に(なかば)強制するのはどうでしょうか。
(VRI限定の技術の例はあげようと思えばいくらでもあげられますが、ペナスタが問題視されているのは、他艇と重なる(ぶつかる)ことを前提としていて、かつ、1位を取れる確率が上がってしまうからです。
ペナスタの話で引き合いに出されやすいのは上マークの強引ポートアプローチだと思います。ほぼ確実にペナルティを受けることがわかっていながらスタボ艇団を避けずにペナルティを受けつつ回航することで、スタボ艇団を避けて回航するよりロスを少なくする、というものですが、こちらは少なくともその艇より前に艇がいて、さらにスタート後の時間にペナルティを履行するので、文句を言う人はほぼいません。なるべくしないように心がけようね、程度の小技です)
ペナスタしない人の心をかき乱す力を持っていることこそ、ペナスタの最大の問題点かもしれません。ペナスタする人が思っている以上にペナスタしない人は気分を悪くしているかもしれませんよ。
ちなみに私の場合は、ペナスタに遭遇して阻止失敗するとVRIを楽しいと思う気持ちが100から5に減ります。阻止成功すれば100から500に増えますが、どちらにせよあまりいい感情ではないなと思います。ペナスタにさえ遭遇しなければ、勝っても負けても楽しさは2,000になります。あくまで私の場合はです。
ペナルティスタートのことがまったく気にならなくなる方法はだたひとつ。圧倒的にうまくなること。
はい、精進します。こんな長いブログを書く暇があるのなら、その分練習すべきでした、ごめんなさい。ごめんなさい。
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